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iPad Air(第5世代)登場!ほとんどPro?

はじめに

今年も、春のAppleイベントが開催されました。今回発表された製品は以下のとおりです。

  1. iPhone 13 / iPhone 13 Pro 新色
  2. iPhone SE(第3世代)
  3. iPad Air(第5世代)
  4. Mac StudioとStudio Display

昨年はiPhone 12(パープル)、iPad Pro、iMacが発表されましたが、それよりも数が多く、M1 Ultraや全く新しいMacの登場もあり、よりインパクトのある発表会だったように感じます。今回は、iPad Airに絞って話そうと思います。最後までよろしくお願いします!

iPad Air(第5世代)

apple.com

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2020年にデザインが大幅に刷新されたiPad Airが、アップデートされました。10.9インチのLiquid Retinaディスプレイ(ProMotion非対応)や、トップボタンに内蔵されたTouch IDセンサー、2つの横向きステレオスピーカーなど、基本的なデザインは前モデルから変更されていません。

M1チップを搭載した2つ目のiPad

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Apple M1チップ

iPad Airの変更点として最も目立つのは、M1チップを搭載したことでしょう。これは、2021年4月に登場した新型iPad Proと全く同じものです。私は、今回のiPad Airには、iPhone 13シリーズに載っているのと同じA15 Bionicチップが搭載されるだろうと思っていました。これにはとても驚いています。

5色展開:スペースグレイ、スターライト、ピンク、パープル、ブルー

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iPad Air(第5世代)カラーバリエーション

今回の新色はスターライト、パープル、ブルーの3つです。シルバーがスターライトに置き換わり、ブルーは色味が変更され、グリーンが廃止されてパープルに置き換わりました。iPhone 13やiPad miniのカラーバリエーションに寄せたのだと思います。ブルーこそ前モデルのものの方が好きでしたが、他のApple製品含め、全体的に統一感が出ていて好印象です。グリーンが好きだった方は残念に思ったかもしれません。

カメラ性能

フロントカメラ

フロントカメラには12MPの超広角カメラを採用しています。写っている人が動くと、自動で追尾して画角内に収める機能である「センターフレーム」が追加されました。2021年春のイベントではiPad Proに、同年秋のイベントで、iPad miniおよびiPadにこの機能が追加されましたが、iPad Airのみが取り残されていました。やっと追いつくことができましたね。ビデオ通話をよくする人には便利な機能です。

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センターフレームに対応したiPad Airのフロントカメラ

バックカメラ

バックカメラには12MPの広角カメラを採用しています。これは前モデルと変わりません。M1チップによる画像処理性能の恩恵を受けるので、撮影した写真の出来栄えは改良されるかもしれません。ただし、iPadのカメラ性能はそこまで優秀ではないので、iPhone並みの写真を撮ることを期待するのは禁物です。

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iPad Airのバックカメラ

ひとつ、注意しなければならないことがあります。フラッシュが搭載されていないことです。暗所での写真撮影時に役立つほか、フラッシュがあれば、環境によらず、書類をより綺麗にスキャンすることができます。2021年秋に発表されたiPad miniにもフラッシュが追加されたので、今回のiPad Airにも追加されるとばかり思っていたのですが、これは残念ですね。

2倍高速なデータ転送

iPad Airの充電ポートはUSB-Cですが、このデータ転送速度が全モデルと比べて2倍早くなったようです。iPad ProのようにThunderboltを搭載することはありませんでしたが、画像・動画の編集など、外部メディアを使用する作業を頻繁に行う人にとっては、嬉しい変更でしょう。

iPad Proとの違いは?

M1チップを搭載して、iPad Proと性能は全くと言っていいほど等しくなりました。

iPad Proを選ぶ理由がなくなった」

「差別化ができない」

このような意見を持つ人も多くはなかったはずです(私も発表当初はそう思いました)。

しかし、いちど冷静になって考えると、そうでもないことがわかります。チップ以外の場所に、ある程度の差異が設けられているのです。これにより、iPad Air・Pro(11インチ)間で差別化を図ることができているといえるのではないでしょうか。以下に両者の相違点について述べます。

ProMotion

ProMotionとは、iPad Pro、iPhone 13 Proシリーズ、14インチ及び16インチMacBook Proに搭載されているディスプレイに関わる技術です。ディスプレイのリフレッシュレート(1秒間にディスプレイ上の映像が切り替わる回数)を10-120Hzの間で自動調整することで、電力消費を最小化させると同時に、従来よりも滑らかなアニメーションを実現しています。

  • グラフィックが重要なゲームをプレイするとき
  • Apple Pencilで描画するとき

上記のような場合に、この技術の恩恵を大きく受けることができます。現状、Appleのハイエンド端末(Proモデル)にしか搭載されていない機能です。iPad Air(第5世代)には搭載されませんでした。iPad Airのディスプレイのリフレッシュレートは、60Hzに固定されています。

ディスプレイに関連して、11インチのiPad Proと比較しても、iPad Airのディスプレイサイズは若干異なることに触れておきます。

両者の筐体デザインおよびサイズはほとんど同じですが、iPad Airは10.9インチのディスプレイを採用しています。これによって生じる目に見える違いとしては、画面周囲の枠(ベゼル)の太さのみです。これは実際に見比べると分かりやすく違います。使用に問題が生じるレベルではありませんが、気になる人もいるかもしれません。以下にApple公式より比較画像を引用します。

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12.9” iPad Pro、11” iPad Pro、10.9” iPad Air

カメラユニット

iPad Proのバックカメラは、広角と超広角の2つのレンズを搭載しています。超広角レンズがあることで、迫力のある写真を撮れるのはもちろんのこと、書類をスキャンするときに、iPadを高い位置まで持ち上げる必要がないという利点があります。iPad Airには超広角レンズがありません。

また、前述したように、フラッシュの有無も大きな差であるといえます。これも、書類をスキャンしたときの出来栄えに影響することがあるので、個人的には重要事項です。

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iPad Proのカメラユニット

最後に、LiDARセンサーの有無です。iPad Proには、ARのためのLiDARセンサーが存在します。センサーから物体までの距離を正確に測定することで、ARオブジェクトの前後にあるものを区別してオブジェクトを適切に切り取る、オブジェクトオクルージョンとなどの特別な機能を実現します。これらのセンサー類もiPad Airには存在しません。

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LiDARセンサーを利用して、より現実に溶け込んだARオブジェクトの表示

LiDARセンサーについてはなくても困る人は少ないかもしれませんが、やはりフラッシュ非搭載は残念です。

Thunderbolt

iPad Air(第5世代)は、USB-Cを使ったデータ転送速度が全モデルより2倍速くなりました。しかし、さらに高速なデータ転送を可能とするThunderboltは搭載されていません。iPad ProのポートにはThunderboltが採用されています。

そこまで大きな差ではありませんが、多くの外部メディアを頻繁にiPadで取り扱う人は、ここがネックになってしまう可能性があります。

Face ID

iPad AiriPad Proでは、生体認証の方式も異なります。iPad Airトップボタンで指紋認証をするTouch IDを採用しているのに対して、iPad Proはフロントカメラ(TrueDepthカメラ)で顔認証を行うFace IDを採用しています。

感染症の影響で、現在の私たちの生活にはマスクが欠かせません。マスクを着用した状態だと、Face IDが使用できないので、ここ数年ではTouch IDの方が万能であることは間違いありません。iOS 15.4では、マスクを着用した状態でFace IDを使用することができるようになりましたが、iPadOSでは未対応です。ベータ版では対応していたようなので、近い将来iPad Proにも対応すると思われますが、しばらくの間、外出先ではパスコードを入力してiPad Proを解錠する必要があります。

iPad Airに関しては上記のような心配がありません。

しかし、Touch IDがFace IDよりも優位に立つとはいえないと考えます。私がそう考える主な理由は、解錠する際のユーザーの動きにあります。

マスクを着用せず、両方式(Touch IDとFace ID)が満足に使用できる環境を考えます。Touch IDでiPadを解錠する際は、Touch IDセンサー(iPad Airではトップボタン)に手を伸ばし、予め登録した指を当てる必要があります。手に持っている際にはなんら問題はありません。対して、Face IDで解錠する際は、スリープ解除と同時に認証も完了します。ユーザーが認証のために行う動作がほとんどないのです。この差は、解錠のみならず、保存済みのパスワードを参照するときや、アプリへのログインを行う場合などにも影響します。

これはあくまで私の持論であり、生体認証方式は個人の好みに依存するので、どちらが優れている、と一概に決めることはできません。しかし、マスク着用時にFace IDを使用する機能がiPad Proにも搭載されれば、全ての環境において、両者は少なくとも対等な位置に立つでしょう。いずれにせよ、これもiPad ProとiPad Airの大きな違いであるといえます。

スピーカー

スピーカーも少しだけ異なります。iPad Airでは横向きに2つのスピーカーが設置されていますが、iPad Proでは4つのスピーカーが設置されていますiPad ProはiPad Airと比べて低音が効いていて、音もシャープです。前世代どうしの比較になってしまいますが、以下にiPad ProとiPad Airの比較動画を載せておきます。参考程度に見ていただければと思います。Max Techさん(https://youtube.com/c/MaxTechOfficial)のものです。

youtu.be

所感

M1 iPad Proを使っている私としては、ProとAirの差が少しだけ埋まったことについて複雑な気持ちです。現段階で、iPad Airに関して手にすることのできる情報をもとにiPad Proと比較を行う限りでは、私はiPad Proでを選んでいてよかったと思いましたし、その価値は自分の中で全く下がっていません。ただ、上にあげた5つの違いについて特に気にならない人、できるだけ安くモダンなデザインのiPadを手に入れたい人、これから大学の授業や課題などで活用したい人にとっては、十分すぎる価値があります。iPad Proにはないカラフルなラインナップも大きな魅力です。iPad Air(第5世代)は驚きこそありましたが、順当にアップデートされた製品だと思います。興味のある人は、手に取ってみてはいかがでしょうか。

iPad Airを購入する

www.apple.com

学生・教職員価格で購入する

現役の大学生、大学進学が決まっている高校生、その保護者、PTA役員などを対象として、割引価格で購入できるページが用意されています。対象の方は、こちらを使いましょう。アクセサリなども部分的に割引がされています。

ただし、今回のiPad Airは、ギフトカード還元のある期間限定の新学期キャンペーンでは対象に含まれません。注意しましょう。